2023年の春季労使交渉も佳境を迎え、労働組合からの要求に対して満額回答の大企業も多いようです。これら一連の報道を見ながら、「大企業の正社員に資産運用は必要なのか?」と思ってしまいました。私もかつてはNTTグループで勤務していましたので、昔の自分への問いでもあります。

資産運用を行う目的は、FIRE、老後の安心、インフレ対策など、さまざまです。しかし、大企業の正社員として長く勤めて、定年まで辞めるつもりがない方は、少なくともインフレ対策での資産運用は不要かもしれません。現役の間は、今回の交渉を見ても明らかなように、物価上昇に伴って賃金が上がっているのですから。

また、老後への不安という点も、ご夫婦で国民年金の第2号被保険者の場合には、公的年金(基礎年金と厚生年金)だけでも老後の収入はある程度確保できると思います。大企業の場合には、退職一時金や企業年金も手厚いので、それらも加えるとなおさらです。大企業にお勤めの方は、ご自身が将来貰える予定の公的年金や退職一時金、企業年金の額を知らないケースも多いです。それらを知ると、「あれっ?思ったよりもらえる!」となるので一度ゆっくり確認してみてはいかがでしょうか。

中小企業にお勤めの方や公務員の方も、ご自身の環境や現状を主体的に理解することが、漠然とした不安を消すのには必要です。その上で、不足する部分だけ、NISAやiDeCoなどを活用して補っていけばよいのです。現状が理解できていないと、必要以上の金額を毎月積み立てている可能性もあります。これは保険でも同じです。将来のリスクを優先しすぎるがあまり、今我慢しすぎていませんか?

ここでようやくタイトルに戻りますが、野球の落合博満氏は、毎年「三兎(打撃の三冠タイトル)をおって三兎を得る勢い」でプレーしていたそうです。資産形成においても、「今か老後か」という「二兎追うものは一兎も得ず」的発想である必要はないと私は考えています。FPとしても難しいテーマではありますが、私自身は常にそれを追い求めて、相談、執筆、講演等の仕事に向き合っております。そして、私が(つみたて)NISAやiDeCo、企業型DCを勧めるのも、この二兎を追うために有効な手段であると考えているからです。とはいえ、これらはあくまで制度なので、具体的にどのような投資スタイルが望ましいかは、また別の機会にお話します(下の記事を読んでいただければ、だいたいは分かりますので是非!)。

【FP推薦】老後不安を解消する本・動画をタイプ別に紹介

お金の悩みは結局、「老後への不安」に繋がっている場合がほとんどです。年齢や貯蓄額によって、その程度に違いが見られるだけと言っていいでしょう。そこで今回は、「①老…

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