NISAやiDeCoと比べると、みなさんが企業型確定拠出年金(企業型DC)を目にする機会は少ないかもしれませんが、日本経済新聞の中で企業型DCへの言及があったのでご紹介します。アメリカでは、企業型DCがしっかり社会のエンジンとして機能しているとのことですが、この部分を読みながら思ったことを書いていきます。
企業年金に労使が縛られた状況も変わった。確定拠出年金を導入し、資産運用が自己責任になるのはこの時期が始まりだ。米国株の低PBR問題は解消し、長期の株高が家計を潤す循環を作った。
日本経済新聞(2023/3/7朝刊)「PBR1倍問題、米国の教訓」
アメリカで流行した経営手法は、10〜20年遅れで日本に入ってきます。企業型DCも、アメリカの401kに倣って、2001年から始まりました。しかし、表面的なものを倣うだけでは意味がありません。1つの事例として、「シェアードサービス」と呼ばれる経営手法を紹介しましょう。私も以前、NTT西日本のシェアードサービス会社(NTTビジネスアソシエ西日本)に勤めていました。シェアードサービスは、1980年代にアメリカ企業が社員のリストラを積極的に行ったことと関係しています。大量リストラによる組織の疲弊から生まれたのがシェアードサービスです。細かい説明はここでは省略しますが、間接部門をコストセンターではなく、価値を生み出すプロフィットセンターとして定義し直したのが始まりです。
日本では、1999年に設立された「NTTビジネスアソシエ」を皮切りに、多くの会社ではバブル不況を乗り切るための手段として、シェアードサービスを導入しました。しかし、その実態はほとんど「アウトソーシング」という名のコスト削減で、今も企業の成長には貢献できていないところがほとんどだと思います。
話を戻して、企業型DCの導入「コスト削減」が強調されがちです。「節税や社会保険料が削減される」点は、企業型DCのメリットですし、経営者にとっての懸案であることはもちろん分かります。しかし、それだけの効果では大変勿体ない限りですし、表面的な効果に持続性はありません。企業型DCでは、「企業」「経営者」「社員」それぞれから生まれる「+α」のエンジンが、明るい未来を創ります。そのためのお手伝いを、私は日々やらせてもらっていますが、これからもっとお伝えしていかなければなりませんね。そのための仕掛けも次々と考えておりますので、下の記事も合わせて是非ご覧ください。
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